キッチンの中のこと

「キッチンの中」、いわゆるキッチンキャビネット内部のことです。

通常のシステムキッチンではここは白、もしくは薄いグレーが定番です(一部のキッチンではステンレス製のものもありますが)。
定番というよりもそれしかないと言っても過言ではないほどです。

その素材のほとんどは「低圧メラミン」と呼ばれる化粧板です。
これは主にパーチクルボードと呼ばれる、木材などの小片を合成樹脂の接着剤でくっつけ、熱を加えて板状に成形した板に、薄いメラミン樹脂を含むシートを貼付けたものです。
この板は、収納家具のキャビネットによく使われている素材ですので、決して悪い素材というわけではありません。コストパフォーマンスに優れた素材と言えるでしょう。
しかし材料の状態では木口(厚み部分〜キッチンデはキャビネットの正面部分)は下地の木片が見えている状態ですので、そこに何かを貼って、下地が見えないようにします。

メーカーキッチンの場合は、各メーカー50種類くらいの色柄の扉を揃えていますが、そのひとつひとつに違う色のキャビネットを使っていては効率が良くないので、白いキャビネットに白い木口材を貼って仕上げています。
そのキャビネットに扉材が付けられて完成するのですが、開き扉でも引出しでも、面材と面材の間に数ミリの隙間がないと開けることができません。使っているうちに面材も多少ズレてきますので、メーカーでは多めに5ミリ程度の隙間を開けます。
そうすると、面材の隙間からキャビネットの木口部分が見えるわけです。
たとえば真っ黒の扉の隙間から白いキャビネットが見えるのはあまりにも興醒めです。
ワクワクの新しいキッチンライフがなんだか残念な気分になってきます。

個性のあるキッチン

ところがキッチンをオーダーすると、製作する木工所にもよりますが、キャビネットを構成する素材は低圧メラミンかポリ合板という化粧合板を注文を受けてから作ります。
なので、扉と同じ素材、同じ色の仕上げにすることも可能です。木の扉であれば、同じ木のシートを貼ることができます。もちろん全く違う色(たとえば黒い扉に赤い木口など)色にすることも可能です。
デザイン、コーディネートの幅が広がり、これだけでも雰囲気がずいぶん変わり、キッチンに個性が生まれます。

また、キャビネットの中の色も白ではなく、少し濃いめのグレー等にすることも可能です。
グレーのキャビネットはなかなかの高級感になります。もちろんカラフルな色にすることもできます。
うっすらと木目が見える扉を開けると、ビタミンカラーの引出しが現れるなんてなかなか楽しいキッチンになると思いませんか?

私たちキッチンマイスターが手掛けるオリジナルキッチンは、お客様のご希望をできるだけかなえられるように考えます。
自分の思いの丈をキッチンマイスターにご相談ください。

The following two tabs change content below.
その類稀なるデザインセンスで「キッチンを武器にした提案」をし、数々の施主をがっちり魅了し続けているインテリアデザイナー和田氏。 2009年度グッドデザイン賞(株式会社INAXと共同)や、住まいのインテリアコーディネーションコンテスト2013(2013 経済産業大臣賞)その他受賞歴多数。「キッチンをつくる―KITCHENING」ほか著書も多数。