住まいにおいての照明の役割

今回はキッチンでも大切な住まいのあかりに関してのことを。

住まい全体において、照明の役割は非常に大きなものです。
一昔前は天井の真ん中に白い蛍光灯のシーリングライトを取付けるだけという部屋ばかりでした。
その時は蛍光灯の効果もあって、部屋の隅々まで満遍なく光が届いていました。次にダウンライトが普及しましたが、等間隔にダウンライトを配置してやはり部屋中が均等な明るさに包まれていました。

しかし、最近の照明計画のトレンドは少し違っています。
明るいところと暗いところを意識的に作り出すようにしています。たとえば、 キッチンのワークトップは非常に明るく、ダイニングテーブルやソファーテーブルは少し明るく、ソファーの上や床面はどちらかというと暗くする。

どちらかというと「影をつくる」という表現の方が正確かもしれません。

ヨーロッパと日本の住まいの違い


ダウンライトをいくつかの場所に集中させて、作業のための明るさを確保し、全体は間接照明で明るさをコントロールするようになりました。

ヨーロッパの住まいを見ると大変暗いことに気付きます。
その大きな理由は、建物の構造にあります。
ヨーロッパの住宅は築100年以上の石作りなんてのもざらで、電気配線などはDIY的に住まい手自らが手を出すこともあるようです。キッチンもIKEA等の家具ショップで買ってきてDIYで取付けることもあります。

日本の住宅のようにドアを入ったところに部屋全体の照明スイッチがあってコントロールするのではなく、部屋のあちこちに置かれたスタンドのうち、必要なあかりをひとつひとつ点けていく。そんな生活が当たり前なので、部屋全体が暗くてもそれに慣れているのです(もちろんそれがすべてではありませんが)。

日本でも昔の家は裸電球一つだけで暗かったのですが、いつの間にか日本人は蛍光灯の眩しい灯りで生活することに慣れてしまったようです。
ヨーロッパに旅行した際、暗い時間に到着する便を選ぶと、着陸直前の高度を下げた時に夜景の色の違いに気付きます。東京は明らかに白いのですが、ヨーロッパの夜景は黄色い。
まあ、東京の夜景のほとんどは残業なんだと思いますが(笑)。

色温度

しかし、マンションをバルコニー側から見ると窓から漏れる光の色がほとんど白で、最近黄色が多くなったなぁと感じるようにはなりました。

この白や黄色といった光の色のことを専門用語で「色温度」といいます。単位は大文字でKと書いてケルビンと呼びます。

例えばろうそくの明かりや日没直前の太陽の色は2000Kくらいで非常に低く、真昼の太陽は5000〜6500Kと高くなります。
このことだけでもわかる通り、色温度と人間の心理との関係は非常に密接で、色温度が低いとリラックスでき、逆に色温度が高い環境下では活動的な気分になります。

住空間では色温度を統一したほうがいいでしょう。そしてどのような空間にしたいかを考えて色温度を調整すべきです。
一般的には住まいでは色温度を3000Kくらいで統一した方がリラックスした空間になります。
キッチンマイスターはこの照明計画のこともきちんと学んでいますので、キッチンだけでなく、住まい全体の照明についてもお気軽にご相談ください。

次回のコラムでは色温度以外の照明計画の極意を書いていきますね。

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その類稀なるデザインセンスで「キッチンを武器にした提案」をし、数々の施主をがっちり魅了し続けているインテリアデザイナー和田氏。 2009年度グッドデザイン賞(株式会社INAXと共同)や、住まいのインテリアコーディネーションコンテスト2013(2013 経済産業大臣賞)その他受賞歴多数。「キッチンをつくる―KITCHENING」ほか著書も多数。