リフォーム業者ブースの多くがメーカーのシステムキッチンやユニットバス、便器などを展示している

先日、セミナーの為に地方都市で開催されたリフォームの展示会を訪れました。そこには商品を出している企業だけでなく、地元のリフォーム業者もたくさん出展していました。

少し時間があったので、会場を回っていたところ愕然としてしまったことがあります。

リフォーム業者ブースの多くがメーカーのシステムキッチンやユニットバス、便器などを展示しているのです。

当然同じキッチンがいくつかのブースで展示されることになります。メーカーにとっては嬉しい話です。出展料を拠出しなくても商品の提供(おそらく貸し出し)をするだけで充分に商品の宣伝になるわけです。しかも社員を送り込まなくても、リフォーム業者が説明もしてくれるのですから、極めてコストがかからない広告といっていいでしょう。

しかしながら来場された一般の方々はそんな展示ブースを見て、いったい何を判断するでしょう?

商品? 価格?

『商品』を確認したいのであればメーカーのショールームに行けばいいはずです。
もちろんショールームをいくつも回って比べなくても一度で済むというメリットはありますが。

『価格』を知りたいのであれば、一つ考えていただきたい。
新築であれ、リノベーションであれ、工事費用のうちの商品そのものが占める割合は半分以下です。それ以外のほとんどが人件費です。
人件費は相場というものがあり、地域差や職人のベテラン度によって差は生じますが、大きな差にはなりません。それであれば、確かな技術力やデザイン力、コンサルティング能力といったソフトの部分を見ていただきたいものです。
そこにこそ住まいに対する満足度の差が生じるわけです。

新国立競技場の建設問題の時にも言われていました「最近工事費が高騰した」というのはあながち冗談ではありませんが、一人工(職人さん一人に支払う一日分の作業料)2万円はいきなり倍になったということではありません。

『(購入する)悩む理由が値段なら買え。買う理由が値段ならやめておけ』

最近インターネットを賑わせている一つの言葉があります。

『(購入する)悩む理由が値段なら買え。買う理由が値段ならやめておけ』

出処は不明ですが、SNSやblogでかなり拡散されているので、目にされた方も多いと思います。

商品を購入するだけで完結するもの(例えば雑貨や服飾など)であればそれもいいでしょう。同じ商品であれば少しでも安い方で購入した方がいいと思います。

しかしキッチンやお風呂などの住宅関連商品は必ず施工が伴います。施工の善し悪しが商品の価値を左右することも多々あります。もちろん納めた後のメンテナンスも必要です。メンテナンスをしっかりすることでその商品は長持ちします。

決して安い買い物ではないですから、後悔はしたくないですよね。

たとえばキッチンは本体の問題だけでなく、動線や通路幅や照明計画などのプランニングによって全く違う空間になるし、使い勝手や住み心地も違ってきます。
むしろ大事なことは商品そのものではなく、プランニングなのです。

先の展示会に出展していた企業の中にはきれいなブースを作って自社の技術力をアピールしていたり、施工例写真を並べて、デザイン力や実績をアピールしているブースもありました。

割合は少ないですが、そんながんばっているブースを見ると好感が持てますし、入ってみよう、話を聞いてみようという気持ちになると思います。

住まいづくり系の展示会に脚を運ばれる際には、そのあたりを注意してみてください。

商品がいいのは当たり前で、その先にある『楽しさ』『快適さ』などが体験できることが大事なんです。

私たちキッチンマイスターは空間づくりとオーダーキッチンのプロですから、商品を売るのではなく、『体験』をご提案するように心がけています。

一人一人にフィットする暮らしをご提案しますので、お気軽にご相談ください。

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その類稀なるデザインセンスで「キッチンを武器にした提案」をし、数々の施主をがっちり魅了し続けているインテリアデザイナー和田氏。 2009年度グッドデザイン賞(株式会社INAXと共同)や、住まいのインテリアコーディネーションコンテスト2013(2013 経済産業大臣賞)その他受賞歴多数。「キッチンをつくる―KITCHENING」ほか著書も多数。