システムキッチンとオーダーキッチンの違い

日々、いろんな方とお話をしていると、以前に比べてオーダーキッチンの認知度は格段に上がっていると感じられます。
しかし、まだまだ誤解されている部分も多いのも現実です。

オーダーキッチンとは言うまでもなく、既成の考え方にとらわれずに自由にキッチンを作ることです。その対極にあるのがシステムキッチンです。

システムキッチンとオーダーキッチンの違いはなんでしょうか??

システムキッチン


一口にシステムキッチンと言っても2種類あります。
最近ではあまりその呼び方はしなくなりましたが(その理由も後でご説明します)『簡易施工型システムキッチン』と『部材型システムキッチン』です。

『部材型システムキッチン』とは、メーカーが設定したいろんな種類のキャビネットを並べて、比較的自由にレイアウトすることができ、そこにワークトップや扉の種類を選んで作るキッチンです。
1973年にドイツの「リビングキッチン」の考え方が日本に導入された当初から20年ほど前までのシステムキッチンのほとんどがこのタイプでした。

価格も比較的高価であり、一般の住宅まではなかなか普及しませんでした。そこで、メーカーが考えたのが『簡易施工型システムキッチン』です。レイアウトを固定したキッチンです。サイズが決まればあとはワークトップと扉の色柄を選ぶくらいで、ほとんど自由度はありませんが、その分安価に提供できます。

でもいまはどこの家庭でも「システムキッチン」が入っています。普及させるための安価なキッチンの役割はなくなっているはずなのに。おまけに部材型の方はというと、メーカーが企業としてのブランドイメージを保つためか、決まりきったプランしか出てきません。
つまり本来の意味でのシステムキッチンはいまの日本ではほぼなくなっていると言えます。

セミオーダーキッチンとフルオーダーキッチン

オーダーキッチン003見せずに、魅せる。
一方のオーダーキッチンにも、セミオーダーとフルオーダーの2種類があり、セミオーダーはシステムキッチンよりは選択肢が広いものの、扉の色などをシリーズ化して仕様を決めたものです。システムキッチンとのもっとも大きな違いは、設備機器の選択肢がかなり拡がっているという点です。
それに比べてフルオーダーは文字通り、ワークトップも扉もキャビネットも、機器類もカタチもレイアウトも、すべてのことをゼロから考えるキッチンです。
法的に許されることであれば、なんでもOKのキッチンなのです。

そんなオーダーキッチンなのですが、残念ながら扉やワークトップの色柄を変えてちょっとだけ寸法の調整をしたような、所謂システムキッチンの焼き直しでしかないと思われる物を多く見かけるのも事実です。
その理由は、設計サイドの知識や勉強不足もさることながら、多くのキッチン屋さんはキッチン本体のことしか考えていないためです。
空間の成り立ちや構成、コーディネートなどには触れることがないのです。

オーダーキッチンは高い!という誤解

オーダーキッチンに対する誤解のなかで一番多いのが「オーダーキッチンは高い」と思われていることです。

確かに安くはありませんし、そのように思っている設計者でさえいるくらいです。
しかし、オーダーキッチンはキッチン屋さんが作るものだと思われますが、現場の職人さんによって作られることもあります。
その誰が作るのかによって価格はまったく異なり、システムキッチンくらいの価格に納まることもあります。オーダーキッチン屋さんでは現場の職人さんに作ってもらうわけには行きませんから、比較的高額なものになります。
しかしそうであっても、プランの自由度や仕上がりの良さ、空間とのコーディネーションを考えると、決して高いものではなく、かえってコストパフォーマンスに優れていると感じることでしょう。

我々キッチンマイスターは元々は工務店です。
つまりいろんな職人を動かしているわけで、オーダーキッチンのコストコントロールは最も得意としているところです。しかもキッチン本体だけでなく、空間全体をご提案します。

是非ともオーダーキッチンのことをご理解・ご検討していただいて、キッチンマイスターにご相談ください。

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その類稀なるデザインセンスで「キッチンを武器にした提案」をし、数々の施主をがっちり魅了し続けているインテリアデザイナー和田氏。 2009年度グッドデザイン賞(株式会社INAXと共同)や、住まいのインテリアコーディネーションコンテスト2013(2013 経済産業大臣賞)その他受賞歴多数。「キッチンをつくる―KITCHENING」ほか著書も多数。