『ノイズ』をなくした、清潔感のあるシンプルなキッチン

今回はキッチンの壁について考えてみましょう。

昨今のシステムキッチンの施工例では、キッチンパネルを貼っているお宅がほとんどです。
キッチンパネルは最大90cmx240cmのほとんど凹凸がない一枚の不燃パネルです。
大きなサイズの板ですから、キッチン全体に貼っても継ぎ目が少なく、清掃性は抜群なので、お掃除が楽だと十数年前から普及してきました。

ほとんどの場合、薄い抽象柄で光沢があるパネルを選ばれる事が多いようですが、上記のサイズになりますから、必ずどこかにジョイントが入ります。
そのジョイント部にはジョイナー(もしくは目地棒)と呼ばれるカタカナのエの字型やT字型のアルミ部材をはめ込みます。

ところがこのジョイナーが極めてかっこわるい。

おまけに端部にもコの字型の見切り材でパネルの木口が出ないように処理しますので、ますます見た目が悪くなります。せっかく目地を減らしたのに、ジョイナーの段差が出来てしまっています。

私の場合、必ずツヤ消しのキッチンパネルを指定し、尚且つジョイナーは入れず、パネル同士を1〜2mm程度の隙間で貼り、コーキングで隙間を埋めるように指示しています。
端部に関しても同様に見切り材を使わず、そのまま木口を出して「三角シール」と呼ばれる三角形にコーキングを打って納めます。

そうすることで、余計な『ノイズ』がなくなり、清潔感のあるシンプルなキッチンが完成します。

オススメのキッチンの壁は…

しかし、このキッチンパネルも、ミニマルなデザインの空間では雰囲気が合わせやすいのですが、やはり味気ない、色っぽさを全く感じないキッチンになってしまいます。

やはりキッチンの壁には(全体の雰囲気にもよりますが)タイル貼りをおススメしています。
目地が作る陰影は大変艶っぽく、無地のタイルを使用してもその陰影だけで表情豊かなキッチンになります。
オーダーキッチン004タイルで ~つなぐ~

また最近ではシンプルなタイルだけでなく、モザイクタイルやモロッコやスペイン、メキシコなどの模様がきれいな地中海風、南米風のタイルの人気が上がってきており、非常に楽しげなキッチンを見かける事も多くなりました。

タイル貼りのワークトップは最近ほとんど見かけなくなりましたが、カジュアルな雰囲気のキッチンを作るには最適だと思います。その時は是非ホーローのシンクを合わせたいですね。

オーダーキッチン007明るく、アンティーク

キッチンの壁の掃除方法

さて、タイルの壁となると気になるのは目地の掃除ですね。

最近の目地材は以前と比べて格段によくなっていて、汚れにくく、カビの発生も少なくなっています。
あと加工で目地のみに撥水効果のある塗料を塗布する事も出来ます。自分で塗布できるペンタイプの物もあります。
タイル壁にする時、最も気にしなければならないのはタイル割です。

タイルは本体+目地で構成されます。壁や天井など寸法が中途半端になる時はタイルをカットして貼ります。
しかし、出来ればカットしない割り付けをした方がきれいに見えます。レンジフードなどとの関係もタイル割を気にします。
そうすることも「ノイズ」を消す方法の一つです。

このようにオーダーキッチンの設計や製作に携わる人間はそれ以外の職方の事も気にしながら作業しています。
私たちキッチンマイスターは新しいキッチンのトレンドや技術を日々勉強しています。きっと皆さんの住まいづくりのお役に立てるご提案ができると思います。
どうぞ、安心してお気軽にご相談ください。

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その類稀なるデザインセンスで「キッチンを武器にした提案」をし、数々の施主をがっちり魅了し続けているインテリアデザイナー和田氏。 2009年度グッドデザイン賞(株式会社INAXと共同)や、住まいのインテリアコーディネーションコンテスト2013(2013 経済産業大臣賞)その他受賞歴多数。「キッチンをつくる―KITCHENING」ほか著書も多数。