このコラムの記念すべき第一話は、やはりこれをお伝えしたいと思います。

使いやすいキッチンを作るために重要なこと

最近でこそ少なくなってきましたが、奥様と打合せをしているとご主人様が『キッチンにそんなに金かけても、料理の腕が上がるわけじゃないだろう!!』と横やりを入れて来られます。自分は車にお金かけているのにね。

でも、その認識は間違っています。
キッチンをキチンと計画すれば、料理の腕は確実に上がります。

キッチンでの所作


私は常々、使いやすいキッチンを作るために重要なことは『所作』であるとお伝えしています。
『所作』とは立ち居振る舞いのことです。
キッチンで行われる所作には、
■1.火を使う。
■2.水を使う。
■3.包丁を使う。
■4.片付ける。
■5.その他(混ぜる、こねる、打つなど)
があります。
それらの『所作』が美しく見える、美しく動けるようなキッチンを計画すると、確実に使いやすいキッチンになります。
つまり、使いやすいキッチンが出来上がると、正しい姿勢で調理をすることになり、また無駄な動きもなくなり、料理の手際が良くなるというわけです。

これまで使いにくいからキッチンに立つのは億劫とされていた奥様も、きっとお料理好きになることでしょう。
なにより、キッチンで料理している奥様をダイニングから見て「きれい、かっこいい」と思える家庭って幸せだと思いませんか。
では、そんな『所作』が美しくなるために気をつけるポイントをいくつかあげます。

その1:大きさ

オーダーオリジナルキッチン034カフェのようにくつろげる空間…
■自分にちょうどいい大きさを知りましょう
■気になる寸法は「高さ」と「距離」のふたつ

ワークトップの高さは最も重要なポイントです。
厳密に言うとシンク部分と作業スペース(まな板を置くところ)とコンロ部分では適切な高さが違います。
もっというとガスコンロとIHヒーターでも適切な高さが異なります。
しかしすべてを違う高さにすると見た目が悪くなりますので、どこかでバランスをとらなければなりません。
レイアウトの工夫で高さの違いが自然に見えるようにしてもいいでしょう。

もうひとつは平面的な「距離」です。キッチン全体の長さ、大きさ、ワークトップの奥行きを考えます。
もちろん理想的な寸法というのはありますが、それを実現しようとすると、かなり大きなキッチンになってしまいます。やはりここでもバランスをとることが求められます。
遠すぎず、近すぎず「ちょうどいい」距離は各家庭によって違います。どこを優先させるかを判断しましょう。

また、何人でキッチンを使うのかによって、通路巾を広くする必要があります。ひとりだったら75センチでもなんとかなりますが、二人で使う場合は90センチは欲しいところです。体格がいい方だったらもう少し確保したいですね。
また、一人で使う場合でも冷蔵庫の位置がキッチンの一番奥にある場合は広めに取りましょう。
ご主人様が冷蔵庫にビールを取りに行くたびに、「ちょっとごめんね」と調理中の奥様の後ろを通るわけです。その度に奥様は避けなければならないのです。きっと夫婦喧嘩の原因にもなります。

このように、キッチンの大きさはいろいろな要素が絡まり合って決められます。
是非、キッチンマイスターに相談してみて下さいね。

長くなりましたので、『所作』が美しくなるためのポイントその2は次回に。
おたのしみに。

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その類稀なるデザインセンスで「キッチンを武器にした提案」をし、数々の施主をがっちり魅了し続けているインテリアデザイナー和田氏。 2009年度グッドデザイン賞(株式会社INAXと共同)や、住まいのインテリアコーディネーションコンテスト2013(2013 経済産業大臣賞)その他受賞歴多数。「キッチンをつくる―KITCHENING」ほか著書も多数。