2019年1月14日〜20日、ドイツ・ケルンで開催された『ケルン国際家具見本市/imm/Living Kitchen2019』を視察してきました。
ケルン国際家具見本市の歴史は1949年にまで遡り、ミラノサローネより10年以上も前にスタート。実に70年の歴史がある一大イベントです。
ケルンは第二次世界大戦の時にほとんど焼けてしまった街ですから、スタートがその4年後というのは驚きです。戦後復興にかける思いはかなりのものだったでしょう。
同じ歴史がある国際家具見本市であるミラノサローネと比較すると、季節の違いも関係しているかもしれませんが、街をあげてのお祭り騒ぎとなるミラノサローネに比べて、ケルンメッセ会場のみで行われるimmは実に静かなイベントです。「ミラノは発表の場、ケルンは商談の場」と位置付けられている印象があります。
もちろん会場に入ると多くの人で賑わっており、今年も世界145カ国から15万人以上の人が会場に訪れたそうです。
中でも顕著だったのが、中国、北米、南米からの訪問者の増加です。
我々日本人はというと、4年前の会場でほとんど見られなかったのですが。今年はかなりの日本人を見かけました。
展示会場であるケルンメッセはケルン中央駅からライン川を渡った隣の駅前にあります。
街のシンボルであるケルン大聖堂は中央駅前にあり、その裏を抜けて南京錠が隙間なくかけられていることで有名なホーエンツォレルン橋を渡っても20分ほどで会場に到着できます。
ミラノサローネのメイン会場であるRho- Fiera会場ほどではありませんが、展示面積は284,000m2と日本で一番大きな東京ビッグサイトの約3倍の広さを誇ります。
『Living Kitchen』は2011年にドイツ国家の威信をかけて復活し、隔年(奇数年)に開催されます。今年は28カ国から271社が出展しましたが、全体的には少し寂しい展示会になってしまった印象が否めません。
というのもキッチンキャビネットメーカー、アプライアンスメーカー共にメジャーブランドの出店がほとんどなかったからです。
出展しなかった会社のいくつかからは、「今後はミラノサローネ/EURO CUCINA」に集中するという話も聞こえてきます。
だからといって、全く収穫がなかったかというとそうではなく、派手さがない分、素材や配色、レイアウトなどは日本市場においては現実的で参考にしやすいキッチンが多く見られました。
今年の展示から感じ取れたキーワードは次の9項目
1.メラミン化粧合板の進化
2.木目と塗りつぶし、メタル素材との組み合わせ
3.FENIXの台頭
4.大理石(もしくは大理石柄)
5.カランとシンクのカラーコーディネート
6.black & gold
7.smorky color & orange color
8.横木目の終焉
9.botanical
『寂しい展示会』と言いつつもこんなに多くのキーワードを見つけることができました。
やはり日本でのレポートを聞くだけでは分からない、現地で、肌で感じなければ理解できないことが多いと思います。
なぜかというと、レポートというのは結果のみに特化した報告であり、その背景の部分が抜け落ちています。
なぜそのキッチンができたのかという背景を知らなければ、単なる表層のモノマネになってしまい、薄っぺらな表現になってしまいます。
私が話す報告会ではできるだけこの背景を話すように心がけていますが、それも完璧に表現できているかどうか。
もう一つ「寂しい」と感じた理由があります。それは会場の作り方です。Living Kitchenの会場は非常に明るく、また通路は床のコンクリートがむき出しです(といってもビッグサイトのようにグレーのコンクリート色ではなく、黒なので少しは雰囲気がいいのですが)。
一方immのメインである家具のエリアは通路部分の照明は暗く、ブースの照明が効果的に見えます。通路部分の床も前面にカーペットが貼ってあり、上品な雰囲気作りをしています。
実はDaDaやArclinea、Varennaなどのキッチンブランドは家具ブランドの傘下に入った(もしくは業務提携を結んでいる)関係で、Living Kitchenのエリアではなく、家具のエリアに展示されています。
そう、それこそが「そのキッチンができた背景」としての表現なのです。
まだイントロの部分でこんなに書いてしまいました。先ほど挙げたキーワードごとの解説は次回に。
- 簡単お手入れでシンクをピカピカに!手順をご紹介 - 2019年4月25日
- Vol.49 Living Kitchen2019から見える次のキッチン-3 - 2019年4月18日
- Vol.48 Living Kitchen2019から見える次のキッチン-2 - 2019年4月8日