前回のコラムでは、ミラノサローネ2018全体の空気感のようなものを書きました。今回はもう少し掘り下げてみましょう。

食材や料理が映える、キッチンの『黒』と『白』

家具からスタートしたヨーロッパのキッチンですが、ここ数年のデザインを見ていると、ずいぶん『キッチン化』してきたなぁ、という印象がありました。
もちろん日本のそれとは全く違い、魅力的なものではあるのですが。それが、今年のキッチンは一気に家具に振り戻したように思います。

いったいその背景になっているものは何なのでしょう?

前回のコラムでも書いた通り、生活の主役は人であり、キッチンに於いては食材や料理も生活の主役です。
それを強調するために天板の厚みを調整したり、キッチンのアイコンをできるだけ見せないように工夫していたわけですが、加えて色と仕上げもそこに加味されます。
ひとことで言うと『shade black』です。艶がない黒は周りの光を反射させず、そこに置かれる食材や料理が照明の中でとても映えます。
また『shade black』は光の色温度によってはシルバーやゴールドに変化し、1日の生活を、一瞬一瞬の時間をとても豊かにしてくれます。
この『shade black』に明るい白『brighter white』を合わせることで、とても奥行き感のある空間が生まれます。
それはキッチンだけでなく、床・壁・天井、家具、小物、植物などその空間に存在する全ての事象(人も含む)をトータルでコーディネートされています。

トータルでインテリアを考える

ヨーロッパの人たちは本当にインテリアコーディネートが上手だし、とてもよく考えられています。
そう、キッチンだけを綺麗にしても、それは全く無意味なことなのです。インテリアをトータルで考えることが重要なのです。
ですから、I型とかL型といったキッチンの形の話は全くの無意味なのです。例えば、下の写真のキッチンはBoffiの新しいコンセプトのキッチンです。下引き循環型のレンジフードを備えたコンロユニット、シンクユニット、作業台ユニット、ダイニングテーブルの4つの要素を自由にレイアウトしていきます。並べてもいいし、写真のようにZ型に組み合わせてもいい、極端にいえばそれぞれのユニットを離して置いてもいいわけです。

このように、EURO CUCINAで展示してあるキッチンを見ると「嗚呼、俺ってなんでこんなに頭が硬いんだろう」と愕然と気付かされることばかりです。
やはり海外の展示会に行って、情報収集をすることはとても大事なことだと思います。

私たちキッチンマイスターはキッチン屋ではありません。空間をトータルでご提案しています。
ご要望をきちんとヒアリングした上で、最適なご提案を心がけています。メーカーキッチンを否定しているわけではありません。
お客様にとって、もっともいい選択がメーカーキッチンであればそれをご提案します(そんなことはあまりないのですが)。

私たちはお客様のご希望をできるだけ叶えられるように考えます。どんなご要望でも遠慮せずにキッチンマイスターにご相談ください。

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和田 浩一
その類稀なるデザインセンスで「キッチンを武器にした提案」をし、数々の施主をがっちり魅了し続けているインテリアデザイナー和田氏。 2009年度グッドデザイン賞(株式会社INAXと共同)や、住まいのインテリアコーディネーションコンテスト2013(2013 経済産業大臣賞)その他受賞歴多数。「キッチンをつくる―KITCHENING」ほか著書も多数。
和田 浩一
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