ここ2~3年、時々提案するレイアウトに(自称)『外L型』というレイアウトのキッチンがあります。
通常『L型キッチン』というと、壁の2面に向かってコンロとシンクを配置します。もっとも最近は対面キッチンが主流なので、どちらか一方を壁側、もう一方をダイニング側(多くはシンクがダイニング側)に向けるプランも見かけるようになりました。

『L型キッチン』は作業動線が少なく済む一方で、コーナー部分のデッドスペースの対応を考慮しなければなりません。
その作業動線ですが、教科書的には「できるだけ短く、無駄を省きましょう」と言われます。

「ワークトライアングル」

一方でキッチンプランニング界(どんな業界だよww)では有名な言葉に「ワークトライアングル」というのがあります。

シンクとコンロと冷蔵庫の正面を直線で結んだ三角形のことですが、この三角形の辺の総和を4〜5mに設定すると理想なキッチンになるというメソッドです(以前ドイツ人のセミナーを聴いた時には6mと言ってましたが)。

つまり動線は短くても長くてもダメ。ほどほどにしとけってことですね。

動線の失敗で夫婦喧嘩に…?

動線が短すぎるということは、水、包丁、火の各作業の間隔が近いということで、必ずひとりで作業するのであればさほど問題ないかもしれませんが、他に人が入る可能性が少しでもある場合、二人の動線がかち合うことになり、かえって使いづらいキッチンになってしまいます。そうでなくても、冷蔵庫の位置によっては、調理途中に家族が飲み物を取りに行くだけで調理の邪魔になります。
よくセミナーで話す「夫婦喧嘩になるよ」という事態が起こってしまいます。

『外L型キッチン』なら動線が重ならない

その点、『外L型キッチン』は二人の動線が重なることはありません。
極めてコンパクトなのに、シンクとコンロの距離を適切に保つことができ、大きなテーブルの一部をキッチンにできるので、残ったところをダイニングテーブルとして使うこともできます。

ヨーロッパの展示会で見るキッチンは大きなものが主流ですが、実際の家庭に入っているキッチンはコンパクトなものも多く、それを上手に使いこなしているそうです。
もともと日本の、特に都市部の住宅はそんなに広いわけではなく、キッチンに割ける面積は限られています(といっても最近では以前よりも広いと思いますが)。

「狭小だから」「ローコストだから」とI型キッチンを壁に付け、その前にダイニングテーブルを置くレイアウトはなんだか味気ないですよね。
もちろん完璧にコーディネートされた、まったくもってキッチンっぽくないオーダーキッチンが実現できれば別ですが。

キッチンへのこだわりやご要望は各ご家庭によって千差万別。そのひとつひとつに対応することはシステムキッチンではほとんど不可能です。
ここは臆することなく、オーダーキッチンを検討してみてはいかがでしょう?

私たちキッチンマイスターはオーダーキッチンと工事のプロです。システムキッチンでは実現不可能なキッチンをご提案することができます。どうぞ、安心してお気軽にご相談ください。

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その類稀なるデザインセンスで「キッチンを武器にした提案」をし、数々の施主をがっちり魅了し続けているインテリアデザイナー和田氏。 2009年度グッドデザイン賞(株式会社INAXと共同)や、住まいのインテリアコーディネーションコンテスト2013(2013 経済産業大臣賞)その他受賞歴多数。「キッチンをつくる―KITCHENING」ほか著書も多数。