キッチンのワークトップに求められる性能?

ワークトップの素材に関しては以前にも書きましたが、もう少し詳しく書いてみたいと思います。

キッチンのワークトップに求められる性能はなんでしょう。
耐熱性、耐水性、耐摩耗性、対薬品性、対衝撃性などです。
これにコストや見た目の雰囲気などが加味され、選ばれるわけです。

人工大理石

現在のキッチンに使われる素材で今一番多く採用されているのは、人工大理石と呼ばれるアクリル樹脂をベースとした素材です。
この素材は前記の性能に関しては抜群にいいとは言えませんが、バランスよく持ち合わせています。
しかも樹脂製ですから、大量生産するとコストを抑えることができます(だからシステムキッチンでは一番使われているのです)。

そして何より大きな特徴は、現場での切削やジョイントなどの加工が可能だということです。
それにより壁などの建築に合わせて隙間なく納めることが可能ですし、マンションのリノベーションなど搬入経路の確保が難しい現場でも、エレベーターに乗せられる大きさで搬入して現場で一体化し、巨大なキッチンをつくることも可能です。
色柄も豊富ですので、インテリアの雰囲気に合わせられることも大きなメリットだと言えます。

ステンレス

これはキッチンに求められる性能のすべてに於いてほぼ完璧な素材でしょう。
しかし、金属特有のギラギラした質感はなんともやわらかいインテリアにはなかなか合わせにくいものです。
そこでバイブレーションという仕上げが登場します。

ランダムにヘアラインを掛けたもので、やわらかい反射がインテリアに合わせやすくなっています。
他にも鏡面仕上げやクロスステッチ、昔ながらのへアラインなど仕上げ方によって雰囲気がずいぶんと変わります。
インテリアに合わせて仕上げを選びましょう。

このステンレス、システムキッチンで使われている物はプレスと呼ばれる製法でつくられる物がほとんどで、厚みが0.6mm程度の板が使われています。

オーダーキッチンの場合、シンクや端部などは溶接をして仕上げるので、溶接の熱に負けない為に1.2mm以上の板を使います。
その分コストは上がりますが、質感は全く違います。
実物を見ていただければ薄っぺらい感じが全くしないのが分かっていただけると思います。

最近では徐々にステンレスの人気が高まっているようです。
バイブレーション仕上げの登場も大きな要因ですが、レストランの厨房でも使われているように、ハードな使用にも充分耐えられる素材は、本格的に料理をされるご家庭で求められることも多いようです。

人工大理石とステンレス、この二つの素材で今のキッチンのほぼ90%ほどは網羅しているではないでしょうか。
しかし、他にもまだまだいろんな素材がワークトップには使われていますが、それらのご紹介は次回のコラムで。

それぞれの素材が持つ性能、コスト、色柄をみなさんのライフスタイルやインテリアに重ね合わせて、慎重に選んでいただきたいと思っています。

私たちキッチンマイスターはキッチン使われる素材のことを熟知しています。メーカのシステムキッチンでは不可能な素材やディテールも得意としていますので、どうぞ何でもお気軽にご相談ください。

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その類稀なるデザインセンスで「キッチンを武器にした提案」をし、数々の施主をがっちり魅了し続けているインテリアデザイナー和田氏。 2009年度グッドデザイン賞(株式会社INAXと共同)や、住まいのインテリアコーディネーションコンテスト2013(2013 経済産業大臣賞)その他受賞歴多数。「キッチンをつくる―KITCHENING」ほか著書も多数。