以前、某キッチンメーカーのキャッチコピーに「キッチンに住む」というフレーズがありました。
当時はまだ若く、粋がっていたこともあり、様々な場所で「キッチンになんて住みたくないんだよ!!」と発言していました。

この相反する表現のふたつの言葉ですが、実は思うところは同じなのです。
「キッチンをいかに住まいの中に溶け込ませるか、より自然な存在感を出せるか」ということを言っています。

1950年代に普及し始めた公団型の『DK(ダイニングキッチン)スタイル』は壁際にキッチンが置かれ、その手前にダイニングテーブルが存在するため、キッチンの使う側が常に住人の眼に晒されることになります。
しかし、その後ダイニングキッチンはリビングも取り込んで『LDK(リビングダイニングキッチン)』として、より生活の中心に位置するようになり、キッチンが視界に入る時間が著しく長くなってきます。

そうして先ほどの言葉が生まれるわけです。

キッチンを住まいの中に溶け込ませるには、いかにその存在感を消すことができるかがポイントになります。そこで存在感を決定しているもの、大きくしているものはなんだろうかと観察してみると、3つの要素が浮かび上がってきます。

その3つとは『冷凍冷蔵庫』『レンジフード』『吊戸棚』です。

『冷凍冷蔵庫』『レンジフード』『吊戸棚』の存在感を隠す

『冷凍冷蔵庫』

まず『冷凍冷蔵庫』。最近は扉がフラットで比較的かっこいい商品が各メーカーから出てきましたから、それを選びたいものですが、それでも冷蔵庫然とした存在感は隠せません。

いっそ視界から消してしまいましょう。(ダブルアクションになってしまいますが)

扉や引戸で「収納」してしまう方法もあります。
この場合、密閉された空間になりますので、冷蔵庫が放熱する手段を考えなければなりません。

そこまでしなくても、レイアウトの工夫でダイニングやリビングから見えない位置を作ってあげたり、動線上不都合がないところにパントリーを設け、その中に入れてしまってもいいでしょう。

『レンジフード』


次に『レンジフード』。これもなくすわけにはいきませんから、デザインのいいのを選びましょう。幸い、最近のレンジフードは薄型ですっきりしたものがたくさんありますから、選択肢には困らないと思います。それでも気になる場合は、レンジフードをパネルや壁で隠すことも可能です。この場合は不燃の処理が必要ですから、キッチンに長けた人にご相談ください。

『吊戸棚』


最後に『吊戸棚』。最近は吊戸棚をつけないキッチンが増えましたが、収納量を確保する手段としてはまだまだ有効です。しかし壁面収納を工夫したり、ウォークインパントリーを設けるなどで吊戸棚以上の収納量を確保することも可能ですから、是非とも検討してください。

他にもキッチンのアイコンとして、混合水栓やコンロがありますが、それはデザインがきれいなものを選ぶことで解決できますので、先述の3つを消すことを考えてみましょう。

私たちキッチンマイスターはオーダーキッチンと工事のプロです。
システムキッチンでは選ぶことができない設備機器や建築と連携した納まりなど、一般的な工務店では真似できないノウハウを持っています。

どうぞ、安心してお気軽にご相談ください。

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その類稀なるデザインセンスで「キッチンを武器にした提案」をし、数々の施主をがっちり魅了し続けているインテリアデザイナー和田氏。 2009年度グッドデザイン賞(株式会社INAXと共同)や、住まいのインテリアコーディネーションコンテスト2013(2013 経済産業大臣賞)その他受賞歴多数。「キッチンをつくる―KITCHENING」ほか著書も多数。